Xperia(SO-01B)で日本語を片手入力、3種類試したところ一長一短だった。

Xperia(SO-01B)で日本語入力と言えばAndroid標準のもの、POBox Touchがあります。Android標準のものは一応入力出来ます程度で、使い勝手はイマイチです。特に片手入力のユーザビリティに関してはあまり興味無いようで、それを補間するかのようにPOBox Touchが用意されています。今回は、このPOBox TouchとFlickWnn(OpenWnn フリック対応版)、そして人気の高いSimejiをそれぞれ試してみました。僕は片手入力時にQWERTYを使わないので、10キーでの使い勝手を主に比較しました。

POBox Touch

日本で発売されているSony Ericsson製の携帯電話ではお馴染みのPOBox Touchです。予測変換は文語、口語を含め、通常使うものからマニアックなものまでカバーしています。また変換候補表示も優秀で、変換候補が表示されている右上に「直変換」「予測変換」などとアイコンが表示されて、それぞれを切り替える事で変換効率を高めています。



これが予測変換時の表示。右上に「直変換」と出ていますのでこれをクリックすると…



直変換での変換候補が出ます。優秀ですね。



長所
  • 数種類の入力パネルはインターフェイス(UI)が共通化しているので、わかりやすい。
  • 10キー部分と操作キーは色分けされていて、視覚的にも押しやすくなっている(視覚は指先の稼動範囲にも影響するんですよね)。
  • 標準で入っているアプリだからか、非常に安定していて、他のサードパーティ製アプリとの連携も違和感が無い。
  • 入力途中でホームボタンを押した際に、入力パネルを消す動作が入る(他のIMEでは入力パネルが消えなくなるバグをよく見る)。だからとっさに作業へ移っても安定している(と思う)。
短所
  • 10キー入力時の高速入力にはかかせないフリックが出来ない。
  • 対応アプリでないと絵文字が打てない。
  • 辞書登録のインポート、エクスポートが出来ない。
POBox Touchの総評

 POBox Touchはフリック入力を除いて(かなり大事なんですけど)非常に優れています。英単語の予測変換精度もわりと高くてストレス無く入力出来るもの良い感じです。Menuを押しても絵文字入力が出来ないのは痛いところですね。絵文字入力アプリは色々出ているので、優秀な日本語変換とUIを使いたい方にはオススメかも。それと、辞書のインポート、エクスポートが出来ないのは致命的ですね。他のIMEは大抵が出来るので、自作もしくはインターネット上で配布されている辞書を使えないのは人によってデメリットかも知れません。僕的にはフリック入力出来たら常用すると思います。安定してて精神的にも安心して打てるのが良いです。



FlickWnn(OpenWnn フリック対応版)

このIMEは各入力パネルのUIが統一されていて使いやすいだけでなく、iPhoneで一躍有名になったフリック入力が可能な点にあります。また、辞書データのインポート、エクスポートがサポートされていて、インターネット上にある優秀な辞書データを一括でインポートする事などが可能です。1語ずつ登録するのは非常に手間がかかります。とにかく種類が多い顔文字等をインポートするのも良いですね。



標準のかな入力パネルです。10キー表示の入力パネルは基本的にフリック入力可能です。「記号」を押すことで、記号や顔文字、絵文字を呼び出す事も可能です。



英字入力パネルです。かな入力パネルからの切り替えは左下にある「文字」を押すのですが、フリック入力で上方向にスライドすると、後述する数字入力パネルからもこの英字入力パネルへ切り替えられます。こういう配慮は素晴らしいですね。もちろん、数字入力パネル時に左方向へフリック入力するとかな入力パネルへ切り替わります。その逆も可能です。僕はこういうところが好きでFlickWnnから離れられないんです。POBox Touchもフリック入力に対応してくれたら最強なのに…(ボソボソ)



数字入力パネルです。かな入力パネル、英字入力パネルは10キースタイルがデフォルトだったのに、数字入力パネルはこれがデフォルトです。10キーは基本的に片手操作でも楽に入力出来るようになっているので、数字だけ打ちたい時にはこういう配列はちょっと困ります。解決策はあるのですが…



全ての入力パネルで、「文字」を長押しする事で異なる入力スタイルを選択出来ます。ちなみにこの画面の左下にある携帯電話のアイコンを選ぶと、10キーの数字入力パネルに切り替わります。でも、他の入力パネルに切り替えると元の数字入力パネルへと戻っちゃいます…こういうのはカスタマイズさせて欲しいですね。開発者様、ご検討願います!


長所
  • 予測変換は非常に優秀。
  • 各入力パネルでUIが同じなので、パネル毎に覚える事が少ない。
  • 「記号」を4回押すことで絵文字入力に対応。その他、記号類は「記号」を押すことで候補一覧が出てきます。
  • 辞書のインポート(読み込み)、エクスポート(書き出し)に対応。
  • ソーシャルIME(インターネット上の辞書データ)対応。これはオフにする事も可能です。
  • ケータイ入力(同じキーを複数回押しての文字入力)とフリック入力を同時設定可能。文字の確定前なら、文字キーを押す事で入力文字が変わります。日本語のフリック入力は出来るけどアルファベットはケータイ入力しか出来ませんみたいな方には超オススメ。
短所
  • 英字入力パネルを使用時に、Caps Lockが出来ない。大文字だけ打ちたい場合には、文字入力直後に「A⇔a」を押さないといけない。この仕様はダメダメですね。
  • 数字入力パネルのデフォルトが10キー入力では無いので、片手打ちには厳しい。長押しで10キーモードに切り替えが出来るんだけど、数字入力パネルを使うたびに毎回毎回やるのはかなり面倒。
  • プログラムが重い(11.05MB)からか、Homeキーを押してもたまに入力パネルが表示されたままになる。Menuキーを長押しても消せない場合は再起動するしかない。

FlickWnn(OpenWnn フリック対応版)の総評

 色々と良くないところもありますが、変換候補の秀逸さはPOBox Touch並に良いです。ただ口語や新語には弱いようで、一般的に使われている言葉(例えば激甘)を変換出来ない事が多々あります。ネット上の辞書と連携しても構わなければソーシャルIME機能をオンにする事で更に賢くする事は可能かも知れません。僕は不特定多数の
ユーザが使っているネット上の辞書と自分の端末の辞書が共存するのが怖いので、この機能をオフにしています。



Simeji

日本初のAndroidケータイ「HT-03A」が出る以前から開発されていたと言う凄いIMEです。名前はちょっとふざけてるように感じちゃったんですが、機能は結構凄いです。使い勝手と機能は別ものなので、とりあえず機能が凄いという表現にしておきたいと思います。標準のかな入力パネルの「DEL」と英字入力パネルの「DEL」の表示位置が1ドット違うとか、記号入力(SYMを押す)と10キーではない数字入力モードに切り替わるとか、10キー入力を主に使う人にとっては気になるところがあります。(1ドット違うとか細かすぎですけど…これだけバージョンを上げてるなら気付いて欲しいっすね)
もっと気になるところがあるのでざっと書きますが、10キーが表示される入力パネルのインターフェイスのデザイン(UI)は10キー入力を主に使う方にアンケートを取っていないのかと思ってしまうくらいです。主にQWERTYを使っていると気付かないかも知れないですからね。それだけ10キー入力は軽んじられているのか、それともマイナーなのか。でも10キー入力を出来るようにしていただいているのであれば、他のIMEが出来る最低ラインはクリアしていただけたらなぁと僕は思います。軽快だし、メチャクチャ多機能なので非常にもったいないです。機能がマニアックなものもありますが、実験的なものはバンバンやってくれた方が良いですからね。



標準のかな入力パネルです。左上に見えるアイコンは「マッシュルーム」というキーで、これを長押しすると入力補助アプリ(マッシュルーム)を呼び出すことが出来ます。これは凄い発想ですよね。IMEにアプリケーションランチャーが搭載されています。



そしてこれが「マッシュルーム」を長押しした時の画面。僕の場合、これだけのマッシュルームを入れています。上から4番目の「郵便番号検索」は郵便番号を打ち込むと住所が表示されて、その住所を選ぶとSimejiが代わりに入力(実はマッシュルームがコピーして、Simejiがペーストしているようです)します。郵便番号は町名まで絞り込めるので、入力する時の手間がメチャクチャ省けるわけです。他にも色々なマッシュルームがあるので、アンドロイドマーケット(Xperia(SO-01B)ではマーケット)で検索してみてください。もしかしたら「こういうの欲しかったんだよなぁ」みたいなのがあるかも。



こちらは英字入力パネルです。タップした時に入力される文字が目立つようにデザインされています。が、一般的な携帯電話の10キーには「ABC」「DEF」のように印刷されているので、ちょっととっつき難いです。フリック入力に特化しているデザインなんですが、長押しすれば候補は表示されるので携帯電話のデザインでも良いような…設定でケータイを選ぶと「ABC」「DEF」な入力パネルにも切り替えは出来ます。でもフリックは出来ないっす。orz 他のFlickWnnみたいに両方に対応して欲しいなぁ。



他のIMEには無い入力パネルです。何とカーソルキー! Xperia(SO-01B)にはトラックボールもカーソルキーも無いのでこれは結構便利だったりします。例えば入力した文字量が多い場合など、任意の位置に入力カーソルを持って行きたいとか、文字を選択してコピーする時に左右キーを連打しなければならない位置に移動したいとか、そういう時には上下キーが役に立ちます。左右キーはPOBox TouchもFlickWnnも持っていますからね。これは面白い発想だと思います。結構使えます。



数字入力パネルです。他の入力パネルの時に「SYM」を押した際に表示されるものです。片手入力するにはやはり厳しいですが、10キーの数字入力は英字入力パネルでフリックするしか無いみたいです。数字を高速に打ちたい時にはちょっと面倒ですね。このあたりも改善して欲しいところです。携帯電話の入力に慣れすぎちゃってるのもあって、なんか要望ばっかですが。




Simejiの気が利いているところのひとつです。「あA」を長押しするとこの画面が出てきます。入力している画面を長押ししても下の項目は出せるんですが、指を伸ばさなくて良いのは精神的にも楽です。Simejiって、良いところと悪いところが極端ですが、他のIMEの良いところをもう少し吸収したら格段に良くなりそうな気がしますね。プラスαの部分は天才的発想なので、こういうのはどんどん伸ばしていただきたいです。


で、Simejiの英字入力パネルはデザインが良くないんですが、入力パネルの左上にある「↑」はかなり良いです。何がって、“大文字の連続入力”が出来るんです! 他のIMEはこれ出来ないですよね?(出来たらごめんなさい) 僕的にはこれ、非常に有難いんです。商品の型番って、大抵が大文字だったりするんだけど、それを打ち込む事って結構ありまして、初めてSimejiを使った時に『おおっ!』と思ったのは、この「↑」の性能だったりします。出来れば長押しでCaps LockとCapsを切り替えられると最高なんですが、まぁ毎回毎回Capsを押さないといけなかった今までと比較してこの「↑」は何よりも有難かったです(いや、今も)。


Simejiの最も気になるところ

まずは下の2枚の画面キャプチャを見比べてください。


かな入力パネル。


英字入力パネル。


「マッシュルーム」の位置がかな入力パネルでは左上にあるのに対し、英字入力パネルでは「→」の位置にあります(「→」と置き換わってます)。元々かな入力モードで「マッシュルーム」があった場所には、「↑」があります。恐らく「↑」の方が多用するだろうとの配慮なのかも知れませんが、UIがコロコロと変わるのは非常に使い難いです。また下の画面キャプチャも見てみてください。



これはかな入力パネルで最初の一文字を入力(まだ不確定)した際の画面です。「→」が「カナ」に置き換わっています。


このようにUIがバラバラなので、もう少しデザインしていただけると入力時の負担が少なくて良いんですが…

こういう不満をモバイラに言ったところ

QWERTYキーボードで入力すれば良いじゃない?」なんて言われちゃいましたが、QWERTYキーボードでは片手操作するのが大変なんです、指の移動距離の問題が大きすぎて。orz それは置いといて、携帯電話で培われた技術を無理やりスマートフォンな作法に変えさせてしまうよりも、携帯電話入力に関しては、携帯電話入力をしてきた人が使いやすいデザインに近づけていただきたいです。我々は素人なんですから(僕もケータイ大好きなのでそちら視点です)。

長所
  • マッシュルーム機能で、入力補助アプリを呼び出して連携出来る。
  • 動作が軽快。指に吸い付くような文字入力が可能。
  • Menuキーを押すとカーソルキーパネルが出てくる。
  • 英字の大文字を連続入力出来る「↑」(Caps Lock)が付いている。
  • 数字入力パネル内の記号パネルの表示を切り替える「↑」が付いている。
短所
  • 入力パネルのデザインが見難い。しかもパネルによって、基本機能キーの配列が変わる、または置き換わる(例:マッシュルーム)。
  • たまに勝手にキーバッファが溜まってしまって、連続押しされてしまったりする(僕の場合は「DEL」が多い)。入力が快調な時(入力が早いなぁと自分で感じる時など)にたまに起こる。
Simejiの総評

 Simejiは軽快な動作、マッシュルーム、カーソルキー等、技術的には凄いものを持っていると思います。UIがそれについていけてないのが残念ですが、UIとプログラミングは別々の方がやっておられると言う事なので、UIのデザイナさんが携帯電話のUIを勉強してくれる事に期待したいと思います。かなり色々書いちゃいましたが、実はSimeji好きでして、安全牌なFlickWnnにするか、軽快かつ高機能なSimejiにするかで物凄く悩んでいます。Simejiって可愛いんですよ、使えば使うほど。でもたまにキーバッファが溜まってしまったり、一瞬止まったりするのと各入力パネルでバラバラなUI(というのも僕はUIを研究していたのもあってそれで気になるのかな?)が気になって仕方がありません。これからに期待したいと思います。


まとめ

 今回は3種類のIMEを紹介しましたが、僕が普段使っているのはFlickWnnです。その理由は変換候補の多さとその精度、あとは後述しているあるアプリのおかげだったりします。Simejiは10キーの英字入力パネルのデザインが一般的じゃないので非常に見にくいのと、キーバッファが溜まってせっかく書いた文章を消された事が何回もあったので、たまにSimejiに適した作業の時だけ切り替えて使っています。POBox Touchは予測変換がかなり優秀なのとSony Ericsson純正IMEなのでぶっちゃけ使いたいんですが…フリック入力が無いと、入力時のストレスがどうしても耐えられないカラダになってしまったんで。液晶のキーボードで同じ場所を連打するのは結構ストレス溜まるんですよね。押した感が無いし。と言う事で、今のところFlickWnnが一番しっくりきてます。OpenWnn plusというFlickWnnの派生版みたいなものもありますが、FlickWnnの良くないところを継承していたり、入力パネルが若干癖があるのでそこが嫌でアンインストールしました。QWERTYで使うには良さそうですが、僕は10キーで簡単なタグ打ちまでするんでQWERTYは使わないんです。液晶のQWERTYもそれほど速度出ないですからね、僕は。逆に日本語なら10キーの方が早いかも。そもそもそんなに高速に打ちたいならパソコンで打っちゃうのもありますし。


おまけ

「マッシュルーム」機能はSimejiにしか無いような事を書いたんですが、実はSimejiをインストールしていなくても「マッシュルーム」は使えます。「マッシュルーム」の仕組みを詳しくは知りませんが、“マッシュルームアプリ”はその情報をクリップボードにコピーするまでしかやっていなくて、そのクリップボードの内容をペースト(貼り付ける)作業をSimejiが行っているのでは無いかと思います。というのは下のようなアプリを発見してしまったからでして…



「マッシュドアー」

アンドロイドマーケットで“マッシュドアー”と入力してください。多分出てきます。
作者のサイト:http://www.luck-of-wise.com/program/

このアプリを使うと下のような画面が出てきます。

マッシュルーム、最高です。
ちなみに、マッシュドアーでアプリを選んだ後、各アプリはクリップボードに内容をコピーしてくれるだけなので、自分でペースト(貼り付け作業)をする必要があります。まぁ普通に入力するよりは全然早いですから、ペーストくらいはやりましょうって事で。